平成28年度税制改正大綱 中小企業にまつわるもの

平成27年12月16日、税制改正大綱が公表されました。昨日に引き続き、中小企業にまつわるところを搔い摘んでみます。
平成28年度税制改正大綱
目次
全体の雑感
今回の税制改正大綱のメインは消費税の複数税率導入です。大枠で決まっただけですが、税率の線引き等、これからどのようになるのか引き続き要注目です。その他の項目は、個人や中小企業等にはあまり大きな影響はなさそうな印象です。
今日は中小企業にまつわる項目をピックアップします。制度の大枠の紹介を優先していますので、正確性がたりない箇所もあるかと思います。ご了承ください。
中小企業にまつわる主な項目
消費税の税率変更、軽減税率の適用(消費税)
平成29年4月から消費税率が8%から10%へと変更されます。
これに伴い”痛税”感を和らげるため、①酒類及び外食を除く飲食料品②定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞については、軽減税率8%が適用されます。
消費税については論点が多いので、後日別途記事を書きます。
法人税率の引き下げ(法人税)
法人実効税率の「20%台」への引下げを実現するため、法人税率が引き下げられます。
これにより、現行23.9%の法人税率は以下のように引き下がります。
平成28年4月1日以後に開始する事業年度
→23.4%(実行税率29.97%)
平成30年4月1日以後に開始する事業年度
→23.2%(実行税率29.74%)
ただし、現状中小法人等の800万円以下の課税所得については、軽減税率(15%)が適用されています。つまり、課税所得が800万円以下の中小企業には影響がない改正です。
建物付属設備及び構築物の償却方法(法人税)
平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備や構築物について、定率法が廃止、償却方法は定額法となります。(この改正は所得税でも同様です)
取得当初に減価償却費が多い定率法から、減価償却費が一定の定額法となることにより、取得当初の課税所得は増加することになります。(もちろん、トータルで減価償却できる金額はどちらも同じです)
少額減価償却資産の特例の延長と一部変更(法人税)
少額減価償却資産(30万円未満)の取得価額の損金算入の特例の適用期限が2年延長され、平成30年3月31日までの間に取得・事業供用するものが対象になります。(この改正は所得税も同様)
なお、対象となる法人から常時使用する従業員の数が1000人を超える法人が除かれることとなりましたが、これにひっかかる中小企業はあまりないように思います。
繰越欠損金に関する変更(法人税)
繰越欠損金の控除限度額を以下のように見直されます。(なお、中小法人等は現行と同様に全額控除)
・平成28年度 所得 x 65% → 所得 x 60%
・平成29年度 所得 x 50% → 所得 x 55%
また、欠損金の繰越期間が10年に延長されるが、その延長は平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額からとなります。(予定より1年延期)
企業版ふるさと納税
青色申告法人が地方公共団体がおこなう一定の事業に寄附した場合、事業税や法人住民税等で一定の税額控除ができるようになります。
なお、個人のような”お礼の品”は禁止されるようです。
中小企業の機械装置の償却資産税の特例(償却資産税)
中小企業が平成31年3月31日までの間に、一定の機械装置を取得した場合、その償却資産税の課税標準は、最初の3年間その取得価格の1/2となります。
その他
その他は、例えば以下のような項目があります。
・事業税の改正(外形標準課税の変更、地方法人特別税の廃止)
・生産性向上設備投資促進税制の適用期限での廃止
・交際費の損金不算入制度(飲食、中小の定額控除)の延長
・マイナンバーの対象となる書類の見直し
・通勤手当の非課税限度額の引き上げ(現行10万円→15万円)
・自動車取得税の廃止と環境性能割の導入
・国税のクレジットカードによる納付
むすび
中小企業の場合も消費税が一番の大きな論点です。個人と違って経理処理の問題もあり厄介です。消費税は来週別途エントリーする予定です。
Today’s Word (No.33)
<Noun>
business organization that makes or sells goods or services.
何という言葉を説明しているのでしょうか。答えは【編集後記】の下。
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【編集後記】
本日は、税理士試験の合格発表日です。はじめて合否通知がきた時、なかなか中身を見られなかったことが懐かしい。
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【Today’s Word】
A : company
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